甲状腺内科診療例

内科診療
傷病名主な症状説明
慢性甲状腺炎(橋本病)むくみ、うつ、肥満、倦怠感橋本病という名称は、この病気が外科医の橋本策(はかる)博士によって報告されたことに由来します。橋本病は、自己免疫の異常により、甲状腺が慢性的な炎症を起こす病気です。甲状腺の自己免疫異常は抗サイログロブリン抗体(TgAb、Tg抗体)や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb、抗TPO抗体)など甲状腺自己抗体といわれる検査で確かめることができ、これが原因で甲状腺に炎症がおこり、甲状腺が腫れたり機能異常を起こしたりします。この病気は特に女性に多く、男性患者の15ないし30倍にのぼるといわれ、40歳以上の女性では13人に1人がこの病気であるとの調査結果があります。大半の方は、甲状腺が腫れて大きくなるだけで特に治療は必要ない場合がほとんどですが、なかには甲状腺ホルモン異常(甲状腺機能低下症)をきたし治療が必要になる方もいます。
現在甲状腺機能が正常でも、将来異常が出てくる場合もありますので、できれば定期的に(数か月~1、2年に1回程度)医療機関を受診し、検査を受けてください。基本的に完治するという種類の病気ではなく、一生お付き合いしていく病気と考えてください。
また、甲状腺が急激に大きくなる、甲状腺に痛みが生じるなどの症状が出現した場合も、できるだけ早く甲状腺専門医を受診してください。

単なる老化現象や、年配の方では認知症と思われていたところ、治療を開始したら症状が改善したという例も多数あります。また、一般の検査などでも、代謝の低下によって血中コレステロールが高く名足、貧血、筋肉や肝臓の病気、徐脈性不整脈(脈が遅くなる不整脈のことで、洞性徐脈ともいいます)が疑われたりすることがあります。健康診断などでこれらの異常をいわれた場合、甲状腺ホルモンが低くなっている場合があります。症状がはっきりしない場合でも一度血液検査をお受けください。
バセドウ病汗をかきやすくなる、動悸がする、いつもイライラする、疲れやすいバセドウ病は、自己免疫の異常により、甲状腺を刺激する物質(TSH 受容体抗体、TSH レセプター抗体、TRAbなどと呼ばれています)が血液中に作られ、その作用により、甲状腺が活発になりすぎ甲状腺ホルモン(FT3、FT4)が過剰となる(甲状腺機能亢進症)病気です。甲状腺ホルモンは体の成長発育やエネルギー代謝に必要なホルモンですが、これが過剰になると、代謝が異常に高まり(安静にしていても常に走っているような状態となり)、じっとしていても動悸や息切れ、発汗が増加し、倦怠感などの症状がひどくなっていきます。早期に適切な治療を開始すれば改善し、完治することも可能ですが、治療せずに悪化させた場合には、心臓病を併発したり、甲状腺クリーゼという状態になると命にかかわることがあります。
■バセドウ病の治療について
バセドウ病の治療については、①薬物療法、②手術療法、③放射性ヨード療法の大きく3つがありますが、当院では①の薬物療法を行います。
※②③の治療が必要な方は、治療経験豊富な他の専門医療機関をご紹介いたします。

①甲状腺の薬物療法
抗甲状腺薬といわれる内服薬を用いる方法で、わが国では広く一般的に用いられている方法です。短所としては薬物の副作用の危険性(特に開始、再開後の2~3ヶ月の間に多い)がある、継続して定期的な病院の受診が必要である、などが挙げられます。
②甲状腺の手術療法は、甲状腺を切除することにより、早期に確実な効果を得ることができます。切除するので大きな甲状腺腫を小さくすることができ、最近では縫合技術が発達し、ほとんど手術の痕が残らない手術も可能になってきました。ただ、入院のため一時的な費用負担が大きい、反回神経麻痺、機能低下症など術後の合併症の可能性があるなどの短所が挙げられます。
③甲状腺の放射性ヨード療法はアイソトープ療法ともいわれ、アメリカなどでは一般的な治療です。甲状腺の原料であるヨードを放射性物質に変化させた薬剤(放射性ヨード)を飲むことで、それが甲状腺に取り込まれ、甲状腺細胞を減少させることによりホルモン合成の活動能も低下させます。うまくいけば1回の治療で終了することができますが、コントロールが難しい方の場合は何回も治療が必要になる場合もあります。この治療は放射性物質を用いるので、治療を行える施設が限られているうえ、妊婦や妊娠を考えている方・授乳中・18歳以下の方にはこの治療を行うことはできません。また、長期間経過を診た場合ある一定の割合で機能低下症になることが知られており(10年で40%)、その場合甲状腺ホルモンの補充療法が生涯必要となります。(ただし、機能低下症の場合は補充療法をきちんと行っていくと非常に安定し副作用もまずありませんんので、それほど心配する必要はありません)
甲状腺腫瘍甲状腺のしこり甲状腺のしこり(結節性甲状腺腫)には、大きく①のう胞、②良性腫瘍、③過形成(腺腫様甲状腺腫)、④悪性腫瘍があります。甲状腺超音波(エコー)検査と血液検査を行い、特に悪性腫瘍と区別が難しい場合にはエコー下に穿刺吸引細胞診を行い診断する必要があります。手術などの治療が必要な場合は、専門治療機関をご紹介いたします。

○検査で異常がなかったのに、症状が続いている方は・・・
担当医師に経過をご相談ください。場合によっては、甲状腺以外の器官や臓器、ストレス、アレルギー物質を疑い、原因の特定に努めます。また、患者様の声を大切にし、薬の変更、生活指導、他院様への紹介など、親身な対応で症状の軽快を目指します。